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高松塚古墳:保存方針再検討へ 壁画はぎ取りや石室解体も

この件については11日の各紙で報道されています。例えば『毎日新聞』<http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/news/20040811k0000m040095000c.html>。

 奈良県明日香村の特別史跡・高松塚古墳(7世紀末〜8世紀初め)の国宝壁画が劣化した問題で、文化庁は10日、これまでの現地保存の方針を見直し、はぎ取りや石室解体も含め再検討することを決めた。今後、実現の可能性やリスクを議論したうえで結論を出す。近くにある特別史跡・キトラ古墳(同時期)では既に極彩色壁画のはぎ取り作業が始まっており、国内の壁画保存は大きな転換点を迎えた。(中略)
 同庁は(1)現地保存…▽従来通り管理▽墳丘ごとドームなどで覆い、温湿度などの環境を管理▽石室のみ施設で覆い環境を管理(2)別施設で保存…▽壁画をはぎ取る▽石室を解体−−などを提示。委員からは「現地保存が望ましいが、今の保存科学の水準では難しいというのなら考えざるを得ない」「どんな方法であれ、どう壁画を残すかの1点で(議論を)詰めるのが大事」などの意見が出た。

アーカイブズの世界でも、「現地保存」は民間所蔵文書を後世に伝えるための大原則です。史料は、それが生まれ、伝えられてきた場所にあってこそ価値をもつ、という考え方に基づくものです。国宝の文化財と民間所在の文書とでは条件が大きく異なるでしょうが、アーカイブズの側から見れば、今回の文化庁の決定に関してはさらなる議論が必要なようにも思われます。