Daily Searchivist

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CM原版の廃棄問題について

9月22日に取り上げた<http://d.hatena.ne.jp/searchivist/20040922#p1>、1985年以前のCM原版約10万本の廃棄が始まっている問題について、「テレビCM史研究拠点」というサイト<http://www002.upp.so-net.ne.jp/TVCM_archeology/index.html>が、その背景と問題点を的確にまとめています。執筆者は東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻の大学院生の方です。

 放映を終えたCMの保存に関する規定は、広告主・広告会社・放送局・制作会社などによって構成される業界団体・全日本シーエム放送連盟(ACC)の申し合わせ事項に基づいています。それによると、放映を終えたCMの原版は、初号納品日から起算して2年の保存義務があります(1984年からの規定です)。義務を負うのは、CMを制作した映像プロダクションです。期間を超えたものは保存しなくてもよいのですが、じっさいはテレビ番組やイベントなど様々な二次利用の機会があり、また広告主の要望もあって、かなりの量が保存されているようです。(中略)
 1本での作品価値は低くても、100本集まれば何よりも貴重な戦後史資料となってよみがえります。さらに、レトロブームがすっかり定着した昨今、「もう一度みたいあのCM」というニーズはますます増加し、その対象も拡大・多様化しているでしょう。それらをビジネスに発展させればじゅうぶん回収できますし、繰り返すようにその人たちに対する社会的責任があると思うのです。

緊急の対処が必要な状況のようです。これまで展開されてきた各地での文書館運動と、いくつもの点で共通性を感じます。