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「送金指示メール」の信ぴょう性について

いわゆる「送金指示メール」問題は、電子記録の真正性をめぐる無認識が国政を激しく揺るがした実例として、日本の記録管理の歴史におけるエポックメーキングな事件となりました。
電子記録管理の観点からすれば、電子記録の信憑性については慎重に判断すべきことが広く知れわたった意義は大きいです。
また、いかなる根拠でメールを偽物と判断するのかも重要でしょう。この点について民主党は、同党のサイトの2月28日付のニュースによれば、

  1. メールソフトが堀江容疑者の仕様と違う
  2. メールの形式で@堀江となっていることなど
  3. 経過の中で情報仲介者に対する信頼が喪失した

の3点を挙げていますが、
「両院議員総会を開催 野田国会対策委員長の辞任などを了承」(2月28日付)
http://www.dpj.or.jp/news/200602/20060228_10ryoin.html
メールの「様式」「書式」「出所」という、いずれも電子記録のコンテクストに関する疑念を判断理由としたのは、少なくとも調査が不十分な段階では適切だったと考えます。
Wikipediaの永田寿康の項には他の根拠も示されていますが、なかでも説得力の高いものが上記の3点といえるでしょう。
「永田寿康」(Wikipedia、3月13日現在)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E7%94%B0%E5%AF%BF%E5%BA%B7
民主党のサイトのニュース・トピックスのコーナーには、2月16日の永田議員の質問以降の攻防の経過や、公開した「送金指示メール」が現時点でそのまま残されていますが、今回の失敗で得た教訓を活かすならば、自党の恥となる記録も公開し続けて説明責任を果たしてほしいものです。
「ニュース・トピックス 2006年6月」(民主党)
http://www.dpj.or.jp/news/index200602.html
「野田国対委員長、緊急記者会見を開催し、堀江メールを公表」(2月17日)
http://www.dpj.or.jp/news/200602/20060217_15noda.html
いずれにしても、今回の問題については電子記録管理の専門的な見地からのさらなる検討が必要であることは確かです。
やや異例ですが、問題の重要性にかんがみて長くコメントしてみました。